喫茶・・志る古・・ぞうに・・
芝区浜松町 大門裏通り
(500夜)
十一月十四日。くもりて暖なり。植木屋来り屋後に掃寄せたる落葉〔去年より日々掃寄せしもの〕を門外に運び、荷車に積みて芝赤羽橋芥捨て場に往く。(中略)晩餐の後銀座に往く。亀屋にてコゝア一鑵を買ひ喫茶店きゆうぺるに憩ふ。酒泉萬本高橋竹下樋田歌川の諸子に逢ふ。帰途また烏森の佃茂に入りて笑語す。夜漸く寒し。頃日市内舞踏場に出入する男女の検挙盛に行はる。齋藤医学博士**妻、近藤廉治〔近藤廉平男〕の妻〔樺山伯の女〕等、警察署へ呼出されしと云ふ。(欄外朱書)舞踏場検挙名家ノ夫人多ク捕ハル(永井荷風 断腸亭日記「昭和八年」)