喫茶とレコードの家
Coffee & Record House
池袋駅西口
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〔展覧会目録より〕
◇第1会場 香蘭荘 1《エヂプト風俗(A)》田中佐一郎 2《アルプスノ見ユル風景》佐藤英男 3《風景》竹中三郎 4《花(A)》中尾彰 5《断片》多賀延夫 6《桃》森繁 7《よもすがら》古沢岩美 8《裸婦》吉原義彦
(086夜)
池袋美術家俱楽部結成を祝ひてわれらの先祖から人間は集まって生きてきた今更ひとりぼっちでは滅亡するおしゃべりをしたり集つまったりすることは意義ぶかし色と線との画家の生活恋をするにも下塗が肝心だ売絵はすべて野獣派は廃め給へ強烈な色や珍妙な形で民衆を吃驚りさせるのはよくない絵かき同志の友情だけは印象派ではあっけない理解して引いたデッサンのように正確でありたい藝術の殖民地池袋モンパルナスの画家は党派を越えて斯くのごとく集るこれまた画家の進歩性の一つなり小熊秀雄
新橋ビューティーは、ヴァニラとストロベリーとチョコレートと、そして挽き茶との四種のアイスクリームが、縞のように色をグラスの外に見せてはいっている。それだけのことなのだが、一つ一つのアイスクリームがおいしいし、そのとりあわせが微妙で、ほんとうに「こんなおいしいもの生まれて初めて」と思ったくらいだった。(三宅艶子『ハイカラ食いしんぼう記』)
九月十一日 日 晴 きょうも蒸し暑し。午前、津田君に頼まれた「霊山美術」の原稿かく。午後散髪。銀座資生堂でアイスクリーム。亀屋で燻製鮭半尾30senを求め帰る。小宮へ手紙と二科展安井君の絵ハガキ、これにざれ歌二つ書き送る。(寺田寅彦日記「昭和二年」)
昭和13年9月2日浅草を歩く。てんぷらの三定の隣りの玩具屋には、おもちゃが溢れている。子供のころこの店の前で、ゼンマイ仕掛の昆虫や刀を欲しがって、父母を困らせてものだ。ひょうたん池の樹の下で、鯉や緋鯉の遊泳を見た。(吉岡実『うまやはし日記』)