2022-06-05

ビー・アール

ビー・アールのマッチラベル

 

RESTAURANT
BR
SUKIYABASHI TOKYO


* * *

レストランのビー・アールは、昭和7年に九里四郎*が京橋区西銀座5丁目(現・中央区銀座5丁目)で開業した。BRは、Blanche et Rouge(白と赤)を略した号。


そこは名前のように扉をあけると、全体が白(ブランシュ)と赤(ルージュ)に統一されていた。壁は白。卓子と椅子は木の部分が白、シートは赤い革(その頃も模造の革はあった)、食卓には赤い花が白の花瓶にいけてある。灰皿も白い陶器に赤い細い縁がとってあった。その赤の色が、ほんの少し朱がかったヴァーミリオンという色で、赤いどぎつさがない。

(三宅艶子『ハイカラ食いしんぼう記』)

(334夜)

*東京美術学校出身の洋画家。元加賀藩士で海軍官僚の南郷茂光の子、柳宗悦は従弟。白樺派の同人と交流があった。