神田八景の内
広瀬中佐の銅像
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神田区の須田町交差点(現・千代田区)は、関東大震災後の都市計画により中央通りと大正通り(現・靖国通り)が整備されたことで、交差点が南東に移動した。それにより、明治43年建立の広瀬中佐像が立つ旧交差点付近は広場になった。
寒いので身ぶるいしながら、安全地帯の上に足踏みをして、ぐるりと一廻りした時、町裏になった広瀬中佐の銅像のある辺りから、一群の狼が出て来て、向う側の歩道と車道の境目を伝いながら、静かに九段の方へ走って行った。(内田百間「東京日記」)
(106夜)