宇野千代が、エプロンをかけた女給仕であったことが、今日でも伝えられているが、宇野さんの話によれば、「私は十五日ばかりあの店にいただけなのに、あの人は燕楽軒の女給だった、と引き合いに出されるのよ」とのこと。でも宇野さんは、その十五日の間にいろんな人の記憶に残るほど美しい人であったらしい。(三宅艶子『ハイカラ食いしんぼう記』)