十月二十四日。天気快晴。終日困臥すること毎日の如し。日暮れて後オリンピクに飯す。神代君来る。供に歩みて西銀座裏通に至る。ラインゴルドの店頭にて主人に逢ひて立談す。欧州大戦前一二年頃のベルリンの空気は現時の東京と頗(すこぶる)相似たるものありきと言ふ。(永井荷風 断腸亭日記「昭和七年」)