一月初六。快晴。午後執筆。日暮銀座に出でて飯す。酒館太訝*の店先に鳶の者来りて梯子乗りをなす。も組の者なるべし。カフェーの女給連も銀座辺にては鳶人足に心付をなすものと思はる。実に不可思議なる世の中なり。此日寒の入。(永井荷風 断腸亭日記「昭和七年」)